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近年、屋久島にはIターンで移住している木工家が増えています。
今回は Murakami Woodworks の工房にお邪魔をして、兵庫県より移住した代表の村上さんにお話しをお聞きました。
 
村上さんは証券会社のサラリーマンを経て養鶏の仕事へと転職した経歴を持ちます。お金至上主義の世界や、薬を大量に使う養鶏は自分の肌に合わないと感じていた折、転職地近くの津山市高等技術専門校木工科の存在を知り、退職を決意して入学したと言います。
木工とは関係なく、年に1度は訪れていた屋久島への移住も心の隅に漠然とあった様です。
 
2006年、木工の技術を修得して屋久島に移住した村上さん、「島で木工をする事はものすごく不便だ・・・」 しかし 「木工をビジネスとして考えたら屋久島ではしていない・・・」とも。

離島で木工する事のハンディとして機械の導入、材料の仕入、作品の販路など大変な事は多そうですが、工房内の大型機械は単相の海外製を代理店業者からネット導入、電動工具の刃物は替え刃式が基本で研磨には出さないとの事です。

主に使用する材はウォールナット、オーク、メイプル、チェリーなどで、福岡県大川の材木屋より仕入れると言います。島では広葉樹の流通は無く、たまに口コミで出回る 山桜、センダン、タブの木なども使うようです。

敷地の杉を伐採して造成した工房の隣には木の香漂う素敵なギャラリーが建っています。出来たばかりのギャラリーとオンラインショップでこれから販路の強化をしていきたいと言います。ネット環境の整った現代社会において離島で起業する事は以前ほど難しい事ではないと感じました。もちろん大変な事でしょうが。

伐採した杉材は梁や柱などギャラリーの構造材に使用されています。構想から5年、着工から3年、完成したばかりの店内にはカッティングボードやアクセサリーなどの小物から椅子や飾り棚などの家具も展示されています。とても素敵な空間なので屋久島観光の際にはぜひ立ち寄りたいポイントです。

幹線道路から少し奥まった所にありますので営業日など詳しくはこちらまで。

島内の幹線道路沿いには村上さんの様にIターンで移り住んだ方々のギャラリーが目立ちます。多分十数年前には無かった光景なのだと感じます。
木工と言えば屋久杉を使った伝統工芸品が主だったこの島に、今まで無かったクラフトもしくはアートと言う新たな息吹がそれらの人々によって根付き始めている、短い滞在期間でしたが、そんな印象を受けた屋久島の木工事情でした。

 
作り手に聞く39の質問
01会社名、工房名を教えて下さい。
Murakami woodworks
02代表者のお名前を教えて下さい。
村上和也
03代表者の出身地はどこですか?
兵庫県
04何でこの道に入りましたか?
自分が何者か突き詰め考えたとき、この道を進んでいました。
05今の地に工房を構えた理由は?
屋久島に移住したからです。屋久島の空気感は自分にはあっています。木工を行うには大変不便ですが。。。
06木工の履歴を教えて下さい。
津山高等技術専門校卒業の後、屋久島移住、その数年後に工房を開きました。
07差し支えなければ木工に携わる以前の職歴を教えて下さい。
証券会社の営業職勤務の後、養鶏会社に転職、主にヒヨコの管理業務に携わりました。
08差し支えなければ最終学歴を教えて下さい。
大学卒
09どこかの団体に所属していますか?
どこにも所属しておりません。
10コンペなどの入選暦を教えて下さい。
コンペに関わったことはありません。
11よく使う樹種を教えて下さい。
特に決まっていないです。屋久島の地杉から輸入材まで、何でも使います。
12なんでその樹種を使いますか?
いろんな木を使いたいので。
13得意とする作品は何ですか?
特にありません。
14木材以外で使用する素材はありますか?
金属を少しアクセントとして使うことがあります。
15よく使う電動工具はどれですか?
どの電動工具もまんべんなく使います。
16よく使う手道具はどれですか?
平かんなはよく使います。
17持っている資格を教えて下さい。
免許であれば自動車、二輪のほか、第2種電気工事士、高校生のときにアマチュア無線免許を取得しました。
18これから身に付けたい技術はありますか?
新しい自分なりの技術をいろいろ考えています。
19貴方の作品はどこで購入できますか?
屋久島のギャラリー、オンラインショップ、年1回程度本土でのイベント出展。
20家具以外での副収入、仕事があれば教えて下さい。
冬の間だけ、ポンカン、タンカン、馬鈴薯の収穫の手伝いをしています。
21製図は手描きですか、CADですか?
手描きのみです。
22導入したい機械、工具、設備、技術等はありますか?
機械や道具はまだまだ不足しています。数えだしたらキリがありません。
23肩書きはどう呼ばれるのが似合っていますか?
自分ではわかりません。
24他人には負けないと思う技術があれば教えて下さい。
特にありません。
25仕事は何時から何時までですか?休みは?
特に決まっていませんがだいたい8時30分から17時くらいが多いです。
とにかく怪我をしないように疲れを感じたらこまめに休憩するようにしています。休みも決まっていません。
26この仕事をしてて嬉しかった事をお聞かせ下さい。
手にとって喜んでもらえる瞬間です。
27この仕事をしてて辛かった事をお聞かせ下さい。
特にありません。
28今までに仕事上の大きな怪我はありますか?
ありません。
29自分で作った物を使っていますか。それは何ですか?
テーブル、こたつ、椅子、器、キッチン用品など。
30身内はあなたの作る作品をどう評価していますか?
ほとんど駄目出しです。
31物づくりに関し、影響を受けた人、尊敬する人を教えて下さい。
物づくりで生計を立てていらっしゃるすべての方をリスペクトしています。
32休日は何をしていますか?
特別に休日はありません。
33子供には後を継がせたいですか、もしくは継いでいますか?
子供はいないのでわかりません。
34趣味は何ですか?
畑でのトマト、スイカ作りと田んぼのコメ作り、あとニホンミツバチと戯れることです。
35好きな食べ物は何ですか?
いろいろありますが強いて挙げると、しめ鯖、うなぎの蒲焼。
36年収一千万の公務委員と今の仕事が選べます。どちらを選びますか?
今の仕事です。
37今の仕事を続けると人間国宝です。ですが、それを破棄すると当選宝くじ3億円ゲットです。どちらを選びますか?
人間国宝には成りえませんが、今の仕事を続けます。
38この仕事を選んで幸せですか?
よかったと思います。
39ご苦労さまでした。最後に、あなたの夢をお聞かせて下さい。
生涯現役で創作し続けたいです。

工房探訪人 古川喜啓 2015年10月27日


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