手作り家具の製作と販売

■漆で仕上げたパソコンデスクのお話・1話■

「今晩は、大晦日ですね。
大掃除していて、現在使っている机を息子に取られてしまい早急に自分用を探しています。「シンプルなワ−キングデスク」形が気に入りました・・・・主にパソコンで作業します・・・・・・」

お客様からこんなお問い合わせを頂いたのは05年の大晦日です。

その後メールで概要をお聞きし、不明な部分を・・
「・・・ご質問ですが、幅50cm程の机下スライドテーブルの位置はどの位置に付けますか?机上の棚寸法が高さ55cm奥行き25cm幅45cmという事でよろしいでしょうか?・・・さっそく図面を書いて、見積もり、サクラ材サンプルを郵送にて送りますので少々お待ち下さい・・・」とメールしたところ、逆に→の画像を送って頂き驚きました。それがあまりに早いのです、返信が。

きっとパソコン関係の仕事なんかをやっている、若い方からのご注文だと、漠然と思っていました。

お客様へ送る図面と見積もりは通常郵送かFAXです。いきなりCADデーター添付しても殆んどのお客様は見れないし、でもお客様も急いでいるみたいだし・・。結局CAD図面をPDFファイルに変換し添付して送信。


そのPDFファイルを見て又←の画像を添付してくださいました。なんともレスポンスの良さには驚きます。

「あんたが遅いんじゃないの?」と言われそうですが、私も対応は迅速を心がけていますので、卓球のラリーの如く打ち合わせはメールで進みます。メールは便利ですが、お客様の顔が見えず、お客様もこちらの顔が見えず、その溝を埋めるのはやはり誠実な対応しかないと、いつも痛感しています。

さて、充実した打ち合わせを重ね、いざ製作。今回の材は樺。樺は木工業界では通称サクラと呼ばれ、近年、入手が難しくなりとても希少な高級材です。特徴は辺材と心材のコントラストが鮮明で、木目に順目と逆目が交互に混じる杢があり、木目合わせは非常に苦労します。 今回の1200×600の天板を取るのに12枚程度の板を削ります。

そして選び抜いた木目の中から、ようやく天板になる材料が生まれます。樺の場合見える木目もそうですが、拭き漆で仕上げる時は順目と逆目が交互に混じる杢が奇麗に出ます。その木目も予測しなければならないのが、楽しみでもあり難しい所です。  

さて完成までまもなく、続きは2話で

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