手作り家具の製作と販売

■漆で仕上げたパソコンデスクのお話・二話■

一話でお話しましたが、樺の場合は順目と逆目が交互に混じる杢が奇麗に出ます。木地の段階ではよく解りませんが、拭き漆で仕上げるとその木目が見事に出ます。今回はディスプレイ台とラックにその部材を使いました。
家具を漆で仕上げる事はとても贅沢で高級で手間の掛かることです。現在の家具塗装の大半は科学塗料に代わり、漆の家具は見かけることも少なくなり、大きな家具の塗師もだいぶ少なくなりました。私も塗りは信頼のおける漆作家の小林さんにお願いしています。ヤッパリ「餅屋は餅屋」で裏切らない仕事をしてくださいます。

さて塗りも終わり机は順調に仕上がりました。大石様へ机が到着してから長いメールを頂きました。

「パソコン机を拭き漆で塗るというのはとても贅沢な事だと思います。こんな贅沢をしようと決心したのは色々理由があるのです。
・・・・・・去年11月私は勤続35年で些少ですが表彰金を頂きました。20年、25年・・・と5年ごともらうのですが今までは洋服を買ったり光り物を買ったりしてきました。しかしこの歳になって身につける物に欲しい物がなくなりました・・(中略)・・私の仕事はパソコンは全然関係がなく趣味です。子供が大学に行って暇になったので始めたところ嵌りました・・(中略)・・子供にお金が掛からなくなりようやく自分に使えるようになったということでしょうか・・(中略)・・何か自分にご褒美を探していました。そんな訳でこの度思い切ってお願いしました。思い切って良かったです・・・・・・」

描いていたイメージは裏切られました。メールのレスポンスの良さといい図面や画像まで添付してくる事といい・・・・「机を息子に取られてしまい早急に自分用を探しています」などのメールの内容といい・・・

・・・・・てっきり小さなお子様をお持ちで30代位のキャリアウーマンの方かと・・・・・良い意味で裏切られました。

会った事の無い人生経験を豊富に積んだ人がネットで注文してくださる、自分のご褒美の為に一生懸命働いて稼いだお金を使って下さる、ありがたいことです。

大石さま、これからもお体に気をつけパソコンライフ、そして人生を楽しんで下さい。一期一会、ご縁ありましたことに感謝いたします。

【物語の裏話】
頂いたメール中略しちゃいましたが、大石さま実はダイエットで相当お痩せになったとか、それが一番自分へのご褒美だったようです(^。^)あーあー言っちゃった。

2話