栓のばっちゃんは静かに話しかけてきました。 「わたしゃな、江戸時代に北海道で生まれたんじゃ。生まれた頃は蝦夷地と言っての、まだアイヌ人と和人が国後や根室、日高や道南でよく争いごとを起こしておっての、まだ蝦夷は特別なとこじゃった。」 そんな厳冬の蝦夷の地を生き抜いてきたばっちゃんには傷がありました。 「そりゃー250年も生きてりゃ、熊にひっかかれるわ虫に穴を空けられるわ色々あるわい。カミキリ虫なんぞにはよく食われたもんサ、それに人間もわたしを食いよる。コシアブラと同じで新芽が美味いらしく、テンプラにして食われちまう。まーそれも共生じゃて。」
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昔はよく ばっちゃんの仲間を見ました、しかし最近は昔ほど見かけません。
「わたしゃ コタンコロニシパ(村長)の敷地に立っておったんで切られちまったが、今では多くの仲間は国有林で育ってるからの〜、わたしのように大きな木はめったに切られずに、すくすく蝦夷で育ってることじゃろう。」 それにばっちゃんは色白だから、化粧をすればケヤキのじっちゃんと見分けがつかなくて、よくケヤキのじっちゃんの身代わりに使われました。 「わたしゃも本意じゃなくてのー」 「ばっチャン 僕もそう思うよ。人間の世界ではケヤキのじっちゃんのがなーんか あがめられてるけど、栓のばっチャンは十分素敵さ。」 「アリガトよ、第二の人生 どこでお役に立てるのか?今から楽しみじゃて、飛び切りのべっぴんさんに化粧をほどこしておくれ。」 |
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2004/8/17・・・・・つづく |
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