半月程「切り株」を漠然と観て過ごしました。
なかなか良いアイデアが浮ばず、紋々としたある日「観世音菩薩」が夢に出てきました。
夢の中でお告げをくれた訳ではありませんが心は決まりました。
そして、彼女に観音様を彫る事をご提案しました。
特に決まった菩提寺も宗派も無いとの事なので、オールマイティーな観音様の提案を喜んで頂きました。
彫り師の貴さんに相談します。すると「これは年輪部分(木口)だから上手く彫れない」と言われました。確かに木口部を彫刻するには確かな技術と良く研磨された彫刻刀が必要です。しかしゴリ押しで何とかお願いしてきました。
数週間後に出来あがりの連絡が入り、対面した時には熱い物が込み上げてきました。
チェーンソーの切削痕と杉の皮を残し、ご子息の最後の仕事が観音様へと生まれ変わりました。
形になってしまうと簡単ですが、切り株を見せられ、それを故人の形見へと変化させる発想は大変でした。
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