手作り家具の製作と販売

■欅の囲炉裏テーブルをオーダーで作るお話 その参■

さて囲炉裏が完成しました。
今回はお客様のご希望でオイル仕上げです。

オイルは木の質感を活かした仕上げが魅力ですが、防汚・防水性に弱く外部要因に左右されやすいのが弱点です。マメにメンテナンスをすれば素晴らしい家具になります。数十年前に納めたオイル仕上げのテーブルが風格のある物に変化していたのに驚いた覚えがあります。これはお客様がマメにオイルメンテナンスをしてた賜物です。
しかし万人がそうでもありませんので、当工房では木固め剤とオイルの併用塗装を施します。木固め剤は浸透性のポリウレタン系樹脂塗料です。これを木に吸い込ませます。「これでもか」と言うほど吸い込ませ、木材内部を樹脂化します。そして最後にオイルを塗布して磨きをかけます。これによりウレタン塗装の様な塗膜は作らずとも、防汚・防水性があり、質感の高い仕上げが可能となります。囲炉裏は欅の赤味が鮮やかで、風格のある品に仕上がりました。詳細はこちらをご覧ください。

ガラス蓋の囲炉裏

灰模様

弐話でも触れましたが、お客様のリクエストで囲炉裏蓋がガラスになっています。これは灰に模様を描き「灰模様」を楽しみたいとの事です。私自身も初めてトライしてみましたのでとても勉強になりました。灰ならしと言うコテベラを使い紋様を描いていきます。描いた紋様に動物や花などの木型(ハンコ)などを自作して押すのも面白いですね。

 

囲炉裏灰模様

さてお届けです。当初、業者にお願いしようと思っていたのですが、お客様が引き取りに来てくださると言う展開になりました。
少し小雨交じりの中、大きなトラックで来てくださいました。聞くと仕事がら長野には来るそうで、小布施の事も詳しく少し驚きました。

囲炉裏は無事に福島に旅立ちました。何事も無ければ百年?・・二百年?・・いや三百年と福島の地に居続ける事でしょう。自分の作品が死後も永遠とこの世に存続する不思議を考えつつ「囲炉裏テーブルをオーダーで作るお話」はこれで終了です。

PS

お客様が囲炉裏テーブルを引き取りに来た際、欅の一枚板の修理をお願いされました。後日この一枚板を配達に福島まで伺いました。
配達が第一の目的ですが、実は行きたいラーメン屋があったのです。

それは「とら食道」です。
2018年4月「プロフェッショナル仕事の流儀」でも放映された有名店です。閉店間際の14時30に滑り込んだのですが、店をぐるっと取り囲むように行列が出来ていました。何とか滑り込みセーフ、三年越しの想いが現実になりました。色々な形容の仕方は有るのでしょうが、どんなに言葉を綴っても嘘っぽくなります。

私なりに言葉にするなら「魂の一杯」です。

道は違えども魂を込めた品作りを目指したいものだと思いました。

   
壱話 弐話 参話
2021/8/05………………終」