手作り家具の製作と販売

■Hさんちの水屋物語「配達」・6話■

いよいよ製作も最終段階です。抽斗や建具の組み立ても終わり、細部の最終調整です。右の写真は建具の鏡板の取り付けです。あらかじめ はぎ合わせておいた鏡板を切り回してはめ込むのですが、この鏡板は はぎ合わせた後、乾燥室に10日程入れておいたのです。乾燥室に入れる前は813mmあった幅も806mmに縮んでいました。この鏡板はよく乾燥した24mm厚の板を半分に挽き割り、それを9mm厚にしたものです。よく乾燥したと思っている板でも、内部には水分がまだ残っていた事が良くわかります。9枚に接いだ板ですので1枚あたり0.8mmほど縮みました。

伸縮や反り割れなど、色々な事を考えながら無垢の水屋箪笥は形になって行きます。

水屋箪笥

ご注文頂いてから約3ヶ月、ようやく完成です。
建具や棚板など外して、大人2人で持てますが、さすがに重いです(T_T)

そしていよいよ配達です。

注文家具の場合、お打ち合わせの段階で、部屋の様子や御家族の構成、家具に対する思いなど直接お聞きできるとイメージがふくらみます。作る精度に影響するわけではありませんが、お客さんと直に接しておくとよりいっそうお客さんをイメージしながら作品を作れる所があります。でも今回は都合もあり事前にメールや電話でお打ち合わせをしただけで、実際に会うまでH様はどんな方なのかはまったく知りませんでした。

水屋箪笥
推測ですがH様は学校の先生で、良い物を大事に使い、昔ながらの日本家屋にお住まいの方だと漠然と思ってました。

小布施町を出発して中央道相模湖インターを目指します、そこから下道で厚木方面に向かい4時間半程でH様のお宅に着きました。
幹線道路が交差している大都会にありながら、お宅の敷地に入ると、そこには私の住んでいる田舎と変わらぬ静かで穏やかな時間が流れてました。広い敷地に建つ入母屋造りの家屋と池、座敷とリビングには立派な欅の一枚板の座卓にテーブル、建具や襖の多くには見事な天然木がふんだんに使われ、良い物は大事に永く使い込む、そんなポリシーが感じられるお宅でした。ほぼイメージしていた感じでした。

そしてお茶を頂きながらお聞きしたところ。やはり先生でした。「史学の教師をしています」と言っていたので・・・多分?・・・私学・歯学・詩学?多分「史学」だとおもいます。そして短い時間でしたが雑談をしてHさんのお宅を後にしました。

さて「Hさんちの水屋物語」も最終回です。
1話の材料が並んでいる写真から、水屋の前にH様が写っている右写真を見ると、時間の経過と共に物が形になってる事に、自分でも改めて不思議に思っています・・・なんて表現してよいのでしょう?

お客様
Hさん 今回は良い出会いを与えてくださり、ありがとうございました。これから小布施町は秋の観光シーズンに入ります。味覚、見所たくさんの、秋の小布施にお出かけ下さい。ではお体に気をつけお元気で(^_^)/~

【つぶやき】
【最近はインターネットでの注文も増え、昔では考えられない様な、お客様との出会いがあります。一期一会を大事に、そして一期一会だけで終わらぬよう、人とのふれあいを大事にして、ネット社会でも誠意ある対応に心がけたいと思うこの頃です】

04/9/5・・・最終回